大判例

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東京高等裁判所 昭和28年(く)21号 決定

被告人 池田久

〔抄 録〕

本件抗告理由の要旨は、被告人甲は昭和二五年四月十七日東京地方裁判所八王子支部裁判官の発した勾留状により勾留せられ、同年五月六日恐喝罪として起訴され、同年六月十二日保釈されたが同年十一月十五日保釈決定の指定条件違反を理由として保釈を取消され同十一月二四日再び拘禁されるに至つたが、其の後昭和二十七年二月十八日再保釈を許可され更に同年三月五日に至り右再保釈決定の指定条件違反を理由として之が取消を受けた。然るに前記昭和二十六年十一月十五日附保釈取消決定に対し抗告を申立てたところ、昭和二七年十二月二十七日に至り東京高等裁判所(第六刑事部)に於て抗告理由ありとして原決定取消の裁判があつたのであるから、之によつて昭和二六年十一月十五日附保釈取消決定のあつた以前の状態が復活したのであり、之と矛盾する状態の存在は許されないから前記再保釈に関する一切の決定の如きも右抗告審の決定があつた以後は当然失効するものと謂うべきである。よつて茲に右再保釈並に之が取消決定(保証金没取の決定を含む)を取消す旨の裁判を求める為本申立に及んだというのである。

よつて按ずるに、被告人甲が恐喝被告事件につき昭和二十五年四月十七日附勾留状により拘禁され其の後抗告人主張の如き昭和二十五年六月十二日附第一次保釈決定及び之に対する昭和二十五年十一月十五日附取消決定があつたこと、昭和二十七年二月十八日附第二次保釈決定及び之に対する昭和二十七年三月五日附取消決定があつたこと、右第一次保釈の取消決定は昭和二十七年十二月二十七日東京高等裁判所(第六刑事部)に於て取消されたこと、因に本件恐喝被告事件は被告人が公判期日に出頭しないまま、第一審に繋属中であることはいづれも一件記録に徴し認め得る。

而して被告人の主張は以上の如き関係あるに於ては、前記第二次保釈及び之が取消決定の如きは第一次保釈取消決定が抗告審で取消された後は当然失効し一旦没取された保証金の如きも当然返還されなければならないというに帰するのであるが、再保釈とは第一次保釈が取消され被告人が再び未決拘禁を受けるに至つた場合、此の現実の拘禁状態を対象として新に保証金を供して釈放されることをいうのであり、第一次の保釈取消が正当の理由に基いているか否かに関係はないのみならず、寧ろ第一次保釈取消決定が場合によつては取消されるかも知れないということを前提としていると考えてもよいのであり、再保釈の当否とか取消決定の当否の如きは再保釈並に其の取消決定自体に存在する事由に基いて論ぜらるべきであり、第一次保釈の取消決定がその後抗告審に於て取消されたからという丈で、爾後一切の再保釈並に之が取消決定が自然に消滅してしまうというが如き主張は理由がない。尤も第一次保釈取消決定が抗告審で取消された際に被告人が再保釈に基き現に釈放されているという如き場合に於ては、再保釈の為された前提条件である「第一次保釈が取消されて被告人が現実に拘禁されるに至つたという状態」がなくなるから再保釈は将来に向けて其の存在の根拠を失うであろうが、本件の如く既に再保釈が取消されている場合に於ては固より同日の論ではなく、再保釈と之に対する取消決定は其自体が取消されざる限り有効に存在し第一次保釈取消決定が抗告の結果取消されても何等の影響も受けないものといはざるを得ない。

以上之を要するに本件抗告は理由がないので之を棄却すべきものと認め刑事訴訟法第四百二十六条第一項を適用し主文の通り決定する。

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